2015-11-29

VOCフリーガラスコーティング?

最近、THエンゼルさんの硬化型無溶剤コーティング剤(ガラスコーティング剤)はVOCフリーですか?と聞かれることが多くなっております。

ご質問に対する回答は、「弊社の硬化型無溶剤コーティング剤はVOCフリーではありません」となります。

なぜそのような質問をされるのか聞いてみました。
「無溶剤なのだから、VOCは含まないのではないか?」ということです。



結論から申し上げますと、以下のようなコーティングは何かの間違いです。

× 無溶剤だからVOCフリーである。
× 無機だからVOCフリーである。

 

 

無溶剤だからVOCフリー?

弊社の無溶剤コーティング剤は、コーティング施工前の液体の状態において有機溶剤は一切含みません。

だからといって、VOC(Volatile Organic Compounds):揮発性有機化合物を発生させないとは言えないのです。

理由は、無溶剤であっても空気に触れて硬化反応がはじまるとVOC(アルコール)が発生するためです。


弊社の業務用硬化型コーティング剤(ガラスコーティング剤)は、無溶剤であっても、空気中の水分(湿気)と反応して、アルコールガスが発生します。

余談ですが、弊社の業務用硬化型コーティング剤が無溶剤なのに引火性であるのは、硬化反応の際に引火性であるアルコールガスが発生するからなのです。

 

 

お酒やパンの発酵、人間もVOCを出す

アルコールは、国連の世界保健機関(WHO)の定義である、「沸点が50℃以上260℃未満の有機化合物)」によりますと、VOCに該当します。

私が昨晩飲んだ日本酒に含まれているエチルアルコール(エタノール)の沸点は、78℃です。絶対に飲んではいけないメチルアルコール(メタノール)の沸点は65℃です。

いかがでしょうか、私たちが飲んでいるビールや日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキーなど酒類のすべてにエチルアルコールが含まれています。

エチルアルコールを含むお酒は、VOCフリーではありません。

パンなどの食品が発酵する際も、アルコールを発生させますのでVOCフリーではありません。

人間を含めた動物が排泄する糞は、メタンなどを発生させますのでVOCフリーではありません。

 

 

VOCとは

VOCとはいったい何でしょうか?
VOCとは、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称です。

VOCは、それぞれの立場でさまざまな定義がなされています。一例として、日本自動車工業会(JAMA)ウェブサイトにまとめがされています。

(参考)
JAMA:車室内VOC(揮発性有機化合物)低減に対する自主取り組み
http://www.jama.or.jp/eco/voc/

国連の世界保健機関(WHO)をはじめ、日本の厚生労働省の考え方を中心に紹介されていて参考になります。

VOCに関しては、物質種類ごとの性質と拡散する量によって、製品を製造する者や使用する者が注意すべきことがあるということなのです。

例えが適切ではないかもしれませんが、飲酒したときのアルコールの質と量で3つのパターンを考えてみましょう。

1.適量のエチルアルコール(お酒)を時々飲む
病気になるリスクよりも、気分や血行が良くなり、人とのコミュニケーションが円滑になるなどのメリットの方が大きいのではないでしょうか。

2.多過ぎるエチルアルコール(お酒)を日常的に飲む
肝臓などの内臓への負担が大きく、アルコール依存症も懸念されるなど、心身ともに健康を害するリスクが増大します。

3.メチルアルコールを飲む
少量であっても、失明したり神経が侵され死に至るなど重篤な健康被害が確実です。


 

無機コーティングはVOCフリー?

ちょっと前まで、印刷インク業界や塗料業界では、VOCフリーという表現が混乱していた時期がありました。

しかし現在では業界や会社ごとに、VOC物質の種類や量を選ぶことによって、VOCの影響が小さいものを定義しており、そのようなものは「低VOC」という言い方が定着しつつあります。


日本塗料工業会(JPMA)のウェブサイトに、VOCに関する表示ガイドラインがあります。
(参考)
JPMA:低VOC塗料自主表示ガイドライン~「低VOC塗料(溶剤形)」~
http://www.toryo.or.jp/jp/anzen/VOC/files/VOC-gl2013.pdf

いまだにコーティング業界では、アルコールを発生させるものや、無機コーティングの中にも、VOCフリーと言っているものが散見されるようです。

ガラスコーティングなどの硬化系のコーティングについては、下記の2種類に大別されます。

(1)硬化する過程においてアルコールを発生するタイプ
(2)揮発性の有機溶剤を含むタイプ


車のガラスコーティングのように硬化するもので、VOCフリーとはどのようなものなのでしょうか?ちょっとわかりませんのでご存知の方は教えてください。

アルコールは、シンナー類(キシレンやトルエン、ミネラルスピリットなど)と比較すると健康や地球環境への影響が小さいため、VOCフリーと言っている場合があるようですが、それは間違いです。

アルコールの場合は、影響が小さいから「相対的に低VOC」ぐらいは言っても良いかもしれません。

このような考え方において、弊社の業務用ガラスコーティング剤は低VOCです。


無機コーティングの原料であるポリシラザン単体は、硬化する際にアルコールではなくアンモニアを発生させます。アンモニアは有機化合物ではないので、VOCではありません。

しかし、アンモニアは有害ですので、VOCではありませんが有害ガスであることを認識する必要があります。
 

ポリシラザンコーティングは、コーティング剤として製造する際に、シンナー類(揮発性の有機溶剤)を使用する必要があります。

このため、無機コーティングの代表であるポリシラザンコーティングは、VOCを含むと同時に有害なアンモニアも発生させます。これらは、人体や環境への悪影響が大きいため高VOCです。


(参考) 
VOCフリーガラスコーティング?
http://coating.th-angel.com/2015/11/vocvoc.html

コーティングにおける有機溶剤の特性と危険性
http://coating.th-angel.com/2015/11/blog-post.html

有機溶剤にご注意 ~コーティング剤への使用目的とリスク~

http://coating.th-angel.com/2015/10/blog-post.html

アルコキシシロキサンとアルコキシシラン
http://coating.th-angel.com/2016/11/blog-post.html

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